オーガニックコーヒーは美味しい?(2)
前回の続き、「オーガニックコーヒー」とはどんなものなのでしょう。
オーガニックコーヒー豆と一般的なコーヒー豆、物としてみればもちろん両方とも同じコーヒー豆です。違うのは、それがどのように育てられたコーヒー豆かというところです。
「オーガニック」というと、日本語では「有機」と訳されます。最近ではとても身近な単語で、スーパーやレストランなどでも「有機農産物」や「有機加工食品」と書かれたものを日常的に目にすることがあると思います。
日本では、2001年よりJAS法の一部を改正した「有機JAS認証制度」が実施され、農産物の生産者や流通業者ではない、第三者である有機JAS認証機関による検査査証が行われ、それに基づいて有機認証を受けた食品のみ、「オーガニック」また「有機」と名付けて販売することができるようになりました。基準の概要としては、2年以上(果物など多年生の作物は3年以上)農薬や化学肥料を使用しない田畑で生産され、収穫されたこと等があげられます。
有機JAS規格に従っていうと、有機農作物とは「農業が持つ自然循環機能の維持増進を目的として、科学肥料や農薬を使わないで栽培された農作物」、有機加工食品は「有機農産物を95%以上(水・食塩を除く)使用した加工食品」を指します。
ここでコーヒー豆に話しを戻しますが、コーヒー豆は基本的にはコーヒーベルトと呼ばれる赤道から南北へ経緯25度の範囲内にある国で作られることが多く、ほぼ輸入に頼っている食品です。その場合は、どのようにして有機JAS認証を受けているかと思われるでしょう。
*海外の有機食品を日本で販売する場合も有機JAS規格の認定を受けなければ、有機JASマークの貼付、また「オーガニック」「有機」と表示できません。海外で認定された「Organic」などど表示された食品をそのまま輸入販売することは法律違反になります。
海外の有機食品に有機JASマークを付ける方法は3つあります。
1、外国人生産者が、日本の農林水産省に登録している登録外国認定機関、または外国で
認定を行っている日本の登録認定機関に申請し、JAS認定を受けて有機JASマークを
貼付し、日本へ輸入する。
2、日本の輸入業者から委託を受けて、輸出国の有機認証制度に基づき認証された海外の
事業者が貼付をする。(*農林水産大臣が外国の政府機関に準ずる機関として指定した
EU加盟国内の有機認定事業者に委託して有機JASマークを貼付する。)
3、輸入時点でJASマークが貼付されていないケースでは、以下のA、Bをともに満たして
いれば、日本国内で有機JAS認定を受けた輸入業者が国内に流通させる前に有機JAS
マークを貼付することで、国内で販売できる。
A. 日本政府がJAS格付け制度と同等の水準にあると認めた格付け制度を有している国
(以下、有機JAS同等国)で生産されていること。
B. 上記有機JAS同等国の有機認定を受けた有機農産物・同加工食品であり、これらの
国の政府機関やこれに準ずる機関が発行する証明書が添付されていること
【有機JAS同等国】<五十音順、2015年7月現在>
アメリカ合衆国、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、スイス、ニュージーラン
ド、EU加盟国(アイルランド、イタリア、イギリス、エストニア、オーストリア、オラ
ンダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロ
ベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガ
リア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニ
ア、ルクセンブルク )
ここで二つ考えたいことがあります。
まず一つ目は、有機・オーガニックの捉え方についてです。
有機農法で栽培された農作物や有機農産物を使用した加工食品でも、有機JAS認証をとっていないものは「有機農作物、また有機加工食品ではない」ということなるのでしょうか?趣味の家庭菜園で農薬を使わずに野菜などを作られている方もいらっしゃると思いますが、そのような野菜はもちろん有機野菜になりますよね。
有機JAS認証をとっていない有機農作物でも、それはもちろん有機農作物です。その商品に有機JASマークを付けたり、商品名に「有機○○」や「オーガニック○○」とつけることはできませんが、ものとしてみれば有機農作物であり、加工されれば有機加工食品になるのです。
続いて、二つ目はオーガニックコーヒーについて。
オーガニックコーヒーでも上記のようなケースはあります。有機JAS認証を持っているオーガニックコーヒーもあれば、認証はとっていないオーガニックコーヒー豆も存在しているのです。
有機JAS認証をとっていないオーガニックのコーヒー豆がどのようなものかというと、海外の有機認証は持っているオーガニックコーヒー豆もあれば、ガラパゴス諸島など世界遺産であり法律で一切の農薬や化学肥料の使用を禁止されている場所で栽培されているオーガニックコーヒー豆などもあります。コーヒー農園があるのは発展途上国が多い為、お金がなくて農薬や科学肥料が買えず、結果としてオーガニックになっているコーヒー豆もあれば、環境のためや生産者の健康被害を減らすため、また目の前で農薬を飲んだ家畜が倒れたこと等から、目的として有機的にコーヒーを栽培している農園のオーガニックコーヒー豆もあります。
FIL COFFEE ORGANIC GROCERY & CAEFの取り扱うコーヒー豆については、農園運営や農園主の考え方をより意識して銘柄選定を行っています。
取り扱い銘柄については、また今後お話ししていきたいと考えています。